前座


最初は載せる気のなかったメールのネタですが、思いの外長くなったので掲載に踏み切りました。

※本編とは一切関係ありません
※本編とは登場人物も雰囲気も異なります





「おいおいジョニー、聞いてくれよ!」
「なんだいジェニファー」
「じっ……いやちょっと待ってくれジョニー、君には僕が女に見えるのかい」
「いいや、細めなだけで細マッチョにもなれてないただの男に見えるよ」
「そ…うん、まぁそうだよ。とにかく僕はジェニファーじゃない。ジョンだ」
「おk把握」
「……実は、鉤咲が短編を書いたらしいんだ」
「ほう」
「製作期間2夜というクオリティの低さだ」
「へえ」
「ただ、一度書ききって携帯に送ろうとしたらデータの半分を消失…必死で書き直したらしい」
「ふーん」
「ジャンルとしては『怪奇小話』で、これから桝田に送るそうだ」
「らりほー」
「…相槌に友情を感じないのは僕だけかい、ジョニー」
「友情なんてなかった」
「マジで!?」
「それは冗談として、ジョン。君はそんな下らない話をするために走ってきたのかい?ジョンだけに」
「ジョンだけにの意味がわからないけど、まあそうだね」
「君の名前犬っぽいじゃないか」
「そう言いつつ君がペットのリクガメに“ジョン(笑)”と名付けた事を僕は知っている」
「知っていたのか」
「君が楽しそうに呟いてたじゃないか」
「ツイッターはこれだから…」
「責任転嫁はやめよう。呟きは各自の責任で行われるものだ」
「そうだね。まあ君にバレた所でネタになるだけだからね」
「君の思い通りじゃないか」
「そうだよジョン(笑)」
「僕はジョン(笑)じゃない」
「今のは君を笑ったんだ」
「ややこしい」
「ところで、俺たちは何の話をしていたんだったかな」
「ん?そういえば…何だったかな」
「君が持ってきた話なのに忘れたのかい」
「忘れたね。君がボケばかりかますからだ」
「わざとだ」
「わざとか」
「でも忘れるくらいだから大した話じゃなかったんだろう」
「そうだな…そうだったかもしれない」
「じゃあ俺は行くよ。…ジョンと一緒に」
「?僕は家に帰っちゃうけど、君も来るのかい?」
「何を言ってるんだい」
「君が何を言ってるんだい。僕はもう君のノリについていく自信がないよ」
「俺が言ったのはコイツの事さ」
「君、服に蜘蛛がついてるよ」
「…ジョンだ」
「てめえ」
「やめてくれ、“…ジョン”は女の子なんだ」
「その溜めはなんだ」
「深い哀愁を表現している」
「君からまともな回答がくると思った僕が馬鹿だった」
「まったくその通りだ」
「申し訳ない」
「いいさ、今回は許すよ」
「ありがとう。君は心が広……いや、なにかおかしいぞ」
「気のせいだ」
「そうか」
「じゃあ俺は行くよ。またな、ジョン」
「ああ、またな」
「蜘蛛嫌いの鉤咲によろしく」
「わかっ……、ん?鉤咲?」
「ジョンは面白いな、…ジョン。帰ったらまたジョン(笑)の背中に乗せてもらおうか」
「待ってくれジョニー、僕は何かを思い出しそうなんだが」
「さぁ、家まで競争だ!」
「君しか走ってないじゃないか!ヘイ、ちょっと待てよ!ジョニィィィィィ!!」