童話:ちいさな劇場で





軽快なリズム。
御伽話によく合う、滑稽で美しい音楽が流れている。
寂れて廃れた舞台では、首が曲がった踊り子が、操り糸でゆらゆら動く。

“おじょうさん わたしといっきょく どうですか?”

手と足がちぐはぐな紳士が来たら、互いにぶつかって倒れてしまった。
“ああ いたい”
“うごけない”
操り糸も絡まって、二人を生かしていた誰かはため息をついた。
もういいや、と呟いて。
両手を離せば板が落ち、たわんだ糸では生きられない。
舞台に残った死体は2つ、次の操り手を待っている。

耳を澄まし、目を見開き、僅かに口を開けて、それらに埃で蓋をされ。
乾燥しきった喉からざらりと埃を吐き出してしまいたいけれど、
それもできずにひたすら待つ。
意識が途絶えるまで。

本当に死ぬまで。