01. 門




青い空が広がっている。
白い雲が浮かんでいる。

一面に広がる青は、浅くて深く、近くて遠く、狭くて広い。
色は時を告げて変化していくが、やがて元の色に戻る。日の長さも、カレンダーが一周する頃には、やはり元に戻る。
最も身近に見える無限ループ。
半永久的に繰り返される事柄。

流れていく雲を、何をするでもなく、眺める。
なにも考えずに、ただただ、見送る。

雲は色も形も変わるが、構築する物質はどれも同じなので、これも不変といえるのではないだろうか。なんて、ぼんやりと考える。
ゆっくりと流れているように見えるそれも、ただそう見えるだけであって、実際は人が走るよりもずっと速く流れているのだろう。
残念ながら間近で見たことはないけれど。

ぽつんと存在する、なんの変哲もない、ただの門。
…いや、門というには、かなり貧相だ。
大人の腰ほどしかない白く薄い壁が2つ並び、間が開いているだけ。
アーチも、扉もない、ただの隙間。

金、チケット、通行手札、乗車券、鍵。
色々なものを手渡し、そこを通りすぎるもの達。
俺の、僕の、私の、仕事は、この門を通りすぎるもの達から、色々なものを受け取り、渡さぬものが通りすぎるのを止めること。
門番、なんて響きのいいものではない。
隙間の手前に座る、単なる警備員、改札、もぎり。実につまらない仕事である。