「ねえ。」 声がして、空に向けていた目を下へと向ける。真っ白な目と目が合う。 「何をしてるの?」 辺りに人影はない。通りすぎるものもいない。 これは何も持たない、通せないもの。 通してはいけない。話は、してもいい。 「何も。」 それだけ言えば、満足したようにそれは戻っていった。 残ったのは、空と、門。