02. 目




「ねえ。」

声がして、空に向けていた目を下へと向ける。真っ白な目と目が合う。

「何をしてるの?」

辺りに人影はない。通りすぎるものもいない。
これは何も持たない、通せないもの。
通してはいけない。話は、してもいい。

「何も。」

それだけ言えば、満足したようにそれは戻っていった。
残ったのは、空と、門。