空が回る。 ゆっくりと雲が流れる。僅かな隙間から、空が顔を覗かせる。 まるで空が流れているような、そんな、錯覚。 「ねぇ。」 声がして、空に向けていた目を下へと向ける。真っ白な髪が揺れる。 「何を見てるの?」 辺りに人影はない。通りすぎるものもいない。 これは何も持たない、通せないもの。 通してはいけない。話は、してもいい。 「空。」 それだけ言えば、まるでクスクスと笑うように髪を揺らして、それは戻っていった。 残ったのは、空と、門。