空が回る。 雲の色が変わる。鈍い灰色が流れていく。雨でも降るのだろうか。空気が重い。 「ねぇ。」 声がして、空に向けていた目を下へと向ける。真っ白な肌が弾む。 「ここはどこ?」 辺りに人影はない。通りすぎるものもいない。 これは何も持たない、通せないもの。 通してはいけない。話は、してもいい。 「門。」 それだけ言えば、まるで陶器のような肌をほんのりと桃色に染めて、それは戻っていった。 残ったのは、空と、門。