05. 服




空が回る。

空の色が変わる。青が赤を纏う。何処かへ帰れと、カラスが鳴きそうだ。

「ねぇ。」

声がして、空に向けていた目を下へと向ける。真っ白な服が風に靡く。

「何をするところ?」

辺りに人影はない。通りすぎるものもいない。
これは何も持たない、通せないもの。
通してはいけない。話は、してもいい。

「通りすぎるところ。」

それだけ言えば、まるで船に張られた帆のように服を脹らませて、それは戻っていった。
残ったのは、空と、門。