空が回る。 空の色が変わる。青が赤を纏う。何処かへ帰れと、カラスが鳴きそうだ。 「ねぇ。」 声がして、空に向けていた目を下へと向ける。真っ白な服が風に靡く。 「何をするところ?」 辺りに人影はない。通りすぎるものもいない。 これは何も持たない、通せないもの。 通してはいけない。話は、してもいい。 「通りすぎるところ。」 それだけ言えば、まるで船に張られた帆のように服を脹らませて、それは戻っていった。 残ったのは、空と、門。