09. 鷹と蠍とニャアニャア



「全く…?『黒猫』お前、いつの間に部屋に入った!」

愚かな『星』共を傍観していたら、いつから居たのか『閃光』さんのパートナーである『黒猫』が俺の横にいた。

「潜入は得意ニャのです!ついさっき入り口でピンポン鳴ャらしたら『蠍』が入れてくれましたニャ。」
「それは潜入ではないぞ?」
「まぁ、ちょっとしたジョークですニャ。」

そう言うとソファーに座っていた俺の右隣に『黒猫』は腰を下ろした。
『黒猫』の尻に何故か生えている尻尾が座るときに、窮屈ではないかと気になったのは内密だ。

「何のようだ?『蠍』と遊ぶ気でいたら諦めた方が良いぞ?向こうの恋バナにちょっかいを出すのに熱心のようだからな。」
「違いますニャ。偵察なのですニャ。と言うか『鷹』さんが「恋バナ」とか似合わニャいですニャ。」
「…偵察は『閃光』さんがそうしてこいと?」
「自発的にですニャ。『鷹』さんってば『閃光』がこんニャ、ちっちゃい事にボクを繰り出すとお思いですかニャ?」
「……いや、では何故?」
「『星』が本気ニャら、ボクら四兄弟は妨害しようと思ってますニャ。」

その目はボーっと『星』達の方を向いてはいるが、何かしら別の物を瞳に映しているのだろう。俺には何も判らず溜め息しか出ない。

「何か、訳が有るのだな?」
「訳がニャきゃ妨害ニャんてしませんニャ。」
「…本当に、お前達は親子して嫌みったらしいうえに、何を隠しているのか検討がつかない。仲間としては良いが、相手に回ると困る。」
「へへっ、褒め言葉として受け取るニャ。」
「…そうだ。『星』共には、お前達の妨害は話さないでおこう。」
「ニャんでだニャ?」
「その方が面白そうだろう?慌てふためく哀れな野郎共が見れて。俺はこの件は傍観者で行くからな、面白い展開に転がってくれれば良いさ。」
「『鷹』さんってば、パパに負けず劣らずドSだニャ(笑)」
「ふっ、褒め言葉として受け取る。」